【書評】生きる意味について考えたいときに読みたい本(仕事なんか生きがいにするな:幻冬舎新書)
最近は、自分の生きる意味がわからないという人が増えているらしい。
「仕事や学業に打ち込みたいが、なかなか熱中することができない。そもそも熱中できることがない。」という悩みは、多くの人が抱えている。
ほとんどの人がスマホを待ち、YouTubeやNetflixなどで安価に娯楽を楽しめるようになったのにも関わらず、なぜそのような人たちが増えているのか。
日々生きる意味を感じることができないという人のために、以下の書をおすすめする。
仕事なんか生きがいにするな 生きる意味を再び考える (幻冬舎新書)
この書は、まさに今を生きる現代人に向けたアドバイスを書き記した著書である。
この著書の題名は仕事なんか生きがいにするな 生きる意味を再び考える (幻冬舎新書)であるが、仕事の話しと今後私たちがどのように生きていけばいいのかが書かれている。
人は大人になると大半の人が仕事をしているが、その理由はこの仕事が好きだからという人もいれば、ただお金を稼ぐためという人もいる。
大多数は後者の理由になると思うが、最近では好きな仕事に就くことが良しとされ、熱中できる好きな仕事=天職という言葉がよく使われる。しかし今の若い人は仕事に興味を持てず、何のために働いているのかという問いを持つことが多い。
そのことを年配の上司に聞いてみると、仕事は飯を食うためだろう!という回答が返ってくるが、これはハングリーモチベーションと言い、戦後復興から高度経済成長の中で、少しでも豊かになるために必死に働いてきた年齢が上の方たちの話しである。
今の人たちは生まれたときから、基本的な衣食住に恵まれていたため「生きるために働く」と言われてもしっくりこないということだ。一生懸命働かなくてもある程度の給料で良い食事、楽しい娯楽ができるからである。
わたし自身この感覚は非常に納得できるところがあり、「食べるために働く」というのは何か違和感があった。仕事というのは食べるために仕方なくするものなのかという絶望感というか。著者も述べているが「仕事が何かの目的ではなく、仕事自体が目的であって欲しかった」ということを今の人たちは求めているのではないか。
そこで著者は、生きるために働くことを労働とし、何か新しい価値を生み出すものを仕事と定義した。
わたし自身この表現はとってもしっくりきた。普段何気なく仕事仕事と言っているが、嫌々会社に行って給料をもらっているのは労働である。
著書いわく、いま現代に残っていて仕事といえるのは芸術くらいなのではないかという。世間の大半の人の仕事への捉え方をみると、確かにその考え方は間違いではないと思う。
この本の題名は、仕事なんか生きがいにするな 生きる意味を再び考える (幻冬舎新書)だが、では何を楽しみにすればいいのかという話しになる。
著者は、無駄なことをすることが良いということを書いている。今は、簡単なこと、分かりやすいこと、コスパがいいことがより好まれる世の中だが、あえて時間のかかる料理であったり、工作をすることが良いということだ。
また計画を立てずに出かけて、その場で何かを考えて即興を楽しむ。まさに子どもが遊ぶ遊び方をひてみるというのも薦められていた。
確かにそのような無駄なこと、即興でやるというのは、大人になるにつれ無意識に遠ざけていた。世間は簡単にわかりやすいものをたくさん生み出し、情報の大量消費を行っている。そのような中だからこそ、物事をひとつひとつ楽しむことが、改めて自分の人生の価値を見出せる方法なのかもしれない。
非常に良い本なのでおすすめです。
仕事なんか生きがいにするな 生きる意味を再び考える (幻冬舎新書)